箕面市に住んでいた父が亡くなったので、相続の手続きを進めようと思います。
今わかっている相続財産は箕面市の不動産と預貯金、株式がいくらかあります。
私には姉がいるのですが、姉は結婚して家を出る際に結納金や当面の生活費として父から200万円ほどもらっているはずなのですが、この分を姉の相続分から差し引くことはできるのでしょうか。
お姉さんに贈与された財産は民法903条に定められている「婚姻」及び「生計」の資本として特別受益にあたると考えられるので、その分をお姉さんの相続分を差し引くことはできると思われます。
生命保険と特別受益 → 質問3-5
特別受益と具体的相続分 → 質問3-6
寄与分とは → 質問3-4
1.特別受益とは
特別受益の制度は、相続人が既に故人から特別の利益を受けている場合に、相続においてその相続人の取り分を減らして公平を図る制度です。
まず特別受益とはなんであるのかですが、民法は特別受益の制度について次のように定めています。
(特別受益者の相続分)
第九百三条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
このように、被相続人から受けた利益であれば何でも特別受益に含まれるということではなく、法律上一定の範囲に限られる利益が特別受益となります。
具体的には、
(1)全ての遺贈
(2)婚姻若しくは養子縁組のために授与された生前贈与
ただし、これも一般的な範囲に収まる結納金、挙式費用等は含まれず、特別な水準以上の費用に限られるとされています。
どの程度のものが特別な水準以上の費用にあたるのかは、その家庭ごとに変わってきますので、ケースバイケースに判断するしかありません。
(3)生計の資本として授与された生前贈与
これについては独立して事業を立ち上げるための資金などが良く例としてあげられます。
この費用についても、ケースバイケースの判断が必要となりますので、一律、この費用は「生計の資本として授与された生前贈与」にあたるということはできません。
2.特別受益にあたるかの判断が分かれるものの例
例えば、教育費用も特別受益にあたるかが問題とされることがあります。
兄弟姉妹の中で一人だけ大学に行かせてもらえたのだから、その分を相続分から除くべきだというものです。
これについても、その家庭の経済事情や他の相続人への贈与の有無等に左右されることになります。
また、相続人の借金を肩代わりした場合なども特別受益として扱われるべきが問題とされますが、これもその家庭ごとに具体的な事情を勘案して判断していくしかありません。