先日、息子が亡くなりました。息子は妻子と豊中市内のマンションに住んでいたのですが、マンションのローン返済による抵当権の抹消などがあったため、残された息子の妻子で早めに遺産分割協議を済ませました。息子の相続財産は生前に家族と住んでいた豊中市内のマンションと預貯金が少しあったようです。
ところが息子は遺言を残していたのですが、どうやら外に子供がいたらしく、遺言中でその子を認知する旨が書かれておりました。
ただ、息子が亡くなってから、遺言を見つけるまでに少し時間が掛かってしまいまして、先の通り既に遺産分割を済ませてしまっているのですが、この場合、どのようにすればよいのでしょうか。

司法書士

ご相談の場合は、既にされている遺産分割は有効と扱われますが、遺言で認知された方については、その相続分に応じた価格の支払いを息子さん相続人である配偶者とお子さんに対して求めることができるとされています。
なので、相手の方との合意があれば遺産分割をやり直すこともできますが、価格の支払いを求められることもありますので、お早めに先方と連絡を取られることが良いと考えます。

遺産分割協議の方法 → 質問4-1

胎児と遺産分割協議 → 質問4-3

離婚と法定相続人 → 質問1-2

再婚と法定相続人 → 質問1-3

1.遺産分割後に相続開始後に認知によって新たに共同相続人が生じた場合


この場合、一方で認知によって相続人となった人の利益を保護する必要はありますが、他方で、既に行われた遺産分割の効力を維持するという安定性を図る必要もあります。
そこで、民法は相続分の価格請求権を認知によって相続人となった人に認めています。

(相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
第九百十条 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。

ご相談についても既に遺産分割は行われているので、認知よる相続人には価格請求権が認められます。
なお、最高裁判所の判例によりますと、価格請求権の「価格」は価格支払い請求時が算定の基準時とされており、その時から支払い債務が地帯に陥る、つまり利息が発生するとされています。

3(1) 相続の開始後認知によって相続人となった者が他の共同相続人に対して民法910条に基づき価額の支払を請求する場合における遺産の価額算定の基準時は,価額の支払を請求した時であると解するのが相当である。
なぜならば,民法910条の規定は,相続の開始後に認知された者が遺産の分割を請求しようとする場合において,他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしていたときには,当該分割等の効力を維持しつつ認知された者に価額の支払請求を認めることによって,他の共同相続人と認知された者との利害の調整を図るものであるところ,認知された者が価額の支払を請求した時点までの遺産の価額の変動を他の共同相続人が支払うべき金額に反映させるとともに,その時点で直ちに当該金額を算定し得るものとすることが,当事者間の衡平の観点から相当であるといえるからである。
ー中略ー
(2) また,民法910条に基づく他の共同相続人の価額の支払債務は,期限の定めのない債務であって,履行の請求を受けた時に遅滞に陥ると解するのが相当である。

最判平成28年2月26日民集第70巻2号195頁

2.遺産分割前に相続開始後に認知によって新たに共同相続人が生じた場合

ご相談とは逆に、遺産分割が未だ行われていないのであれば、認知による相続人も遺産分割協議の当事者となりますので、その人も交えて遺産分割を行わなければなりません。この場合に認知による相続人を除外して遺産分割協議を行っても、当該協議は無効になります。

遺産分割前の相続人 → 質問4-5

死後認知と再審 → 事例紹介

死後の人工生殖と親子関係 → 事例紹介

認知者死亡後の認知無効 → 事例紹介