私は今、大阪市内に住んでいるのですが、ずいぶん前に父が亡くなった際に箕面市にある土地と建物を相続しています。
この度、所用でお金が入用になり、銀行で借り入れを考えているのですが、この箕面市の不動産に抵当権を付けてお金を借りられないかと考えています。
父の相続の時に兄弟と遺産分割協議は済ませており、確かに私の所有になっているのですが、相続登記をしておらず、父名義のままになっています。
このままでも抵当権を付けることはできるのでしょうか。

司法書士

残念ながら、そのままでは抵当権を付けることはできません。
借入先の銀行さんからも言われると思いますが、抵当権を付けるにはまず相続登記をして登記名義を変更することが必要になります。
相続登記を省略することはできません。

共同相続した不動産と登記 → 事例紹介

相続登記の時間制限 → 質問5-1

相続した不動産の売却と相続登記 → 質問5-2

1.相続後に抵当権を設定する際の相続登記の必要性

新しく抵当権を設定するためには所有権の登記名義人と、抵当権の設定者が同一でなければなりません。
相続登記をしていない場合は、登記簿上は所有権の登記名義人が既に亡くなっている方の名義のままになっていることになります。
相続によって実質的には、その不動産の相続人に所有権が移っているとしても、その実質面は登記を見るだけでは第三者にはわかりません。
そこで、誰が不動産の所有権を相続して、今現在所有しているかを明確にする必要があります。
このための手続きが相続登記になります。
そこで、相続登記によって今現在、その不動産の所有者は誰なのかを示したうえで、新たな抵当権を設定することになります。

2.相続後に相続不動産を売却する際の相続登記の必要性

また、相続した不動産を売却する場合も、相続登記を行っておく必要があります。

例えば、親が亡くなり、兄弟間で親名義の不動産を兄弟の片方が相続するという遺産分割協議が行いましたが、仲のいい兄弟だったので、特に遺産分割協議書を作成することもなく、相続登記もしていなかったとします。
その後、相続した不動産を売却することになったという場合には、やはり相続登記を行って、不動産の登記名義人を自身の名義にしておかなければなりません。不動産の登記名義を亡くなられた親の名義から、直接、不動産の購入者名義へと移すことはできないのです。