昨年、父が亡くなったので相続をどうするか家族で話し合っています。
私の実家は池田市内の代々受け継がれている土地の上に祖父が建てた家なのですが、実家の名義を調べると祖父のままになっていました。
先の通り祖父の相続人である父が既に亡くなっているのですが、このような場合でも相続登記をすることはできるのでしょうか。
相談者様にお話を伺うと、亡くなられたお父様には存命の妹さんがおられるようですので、相談者様を含めたお父様の相続人全員と叔母様とでお爺様の遺産分割を協議することで相続登記をすることができます。
ただ、お爺様が亡くなられてずいぶんと経っているようですので、もしかするとお爺様の遺産分割はお父様と叔母さまで既に住んでいるのではないでしょうか。一度、叔母様に確認していただいて、遺産分割をしないままであるのであれば、全員でお爺様の遺産分割を行い、その後、お父様の遺産分割を行うということになります。
代襲相続とは → 質問1-4
相続欠格とは → 質問1-5
遺産分割の方法 → 質問4-1
抵当権の設定と相続登記 → 質問5-3
1.相続登記の時間制限
相続登記は時間が経てばすることができなくなるということはありません。なので、相続が生じても不動産の名義をそのままにしていることも多々あります。
相続した不動産を売却したり、お金を借りる際の担保にするということがない限り、特に相続登録をする必要性が感じられないということもあります。
ご相談についてもお爺様が亡くなられてから、相続登記をしてお父様名義に変更する必要性が特になかったのであろうと思われます。
しかし、相続登記は早めにしておくことをお勧めします。
上記の通り、相続登記に時間制限はありませんので、ひとまず、そのままにしておいて、必要が生じた場合に相続登記をすることもできます。
しかし、長い間、相続登記をせずに放置しておくこと、法律上はともかく、事実上、相続登記をすることができなくなることがあります。
2.相続登記を放置した場合の問題
例えば、不動産の登記名義人であるAさんが亡くなり、相続登記をしなかったとします。
Aさんにはお子さんがBさん、Cさん、Dさんの3人がいたとして、相続登記をしないままでBさんとDさんも亡くなったとします。
BさんにはEさん、Fさんというお子さんがおられて、Dさんには配偶者GさんとHさん、Iさんというお子さんがいるとすると、遺産分割を行う当事者がかなりに人数になってしまします。
人数が多くなると纏まるものも纏まらないという可能性が増加しますので、事実上、遺産分割ができず、相続登記もできないということになりかねません。
今回のご相談では遺産分割の当事者がそれほど多くないので遺産分割も纏まると思われますが、一般論としては当事者が少ないときに話し合いを行うことが重要です。
また、遺産分割の当事者が行方不明になっている場合もあり、この場合も遺産分割をすることができなくなります。
なので、遺産分割はお早目に行い、きちんと相続登記を済ませておくことをお勧めします。
3.相続登記の義務化
なお、令和6年(2024年)4月1日から相続登記が義務化されます。
また、遺産分割の当事者が行方不明になっている場合でも法定相続分での相続登記ができる例外規定が新設されますので、長く放置していた相続登記をしやすくはなりますが早めに遺産分割・相続登記を行った方が良いことに変わりはありません。
売主の相続登記と移転登記 → 質問5-2
遺産分割と相続登記 → 事例紹介