私の父には兄弟が1人いたのですが先日、亡くなったそうです。私は生まれてこの方、池田市内に住んでいるのですが、叔父とは生前に交流がなく、青森市に住んでいたことも、亡くなったことも知りませんでした。叔父が亡くなったことを知ったのは金融機関から債権通知が届いたからです。
あまり知らない叔父の借金を払うことは避けたいため、相続放棄を考えていますが、相続放棄をした後に、叔父の財産が見つかった場合は、相続放棄を取り消すことはできるのでしょうか。

司法書士

相続放棄が裁判所に認められると、その後に相続放棄を取り消すことはできません。
なので、叔父様が住んでいた地域の銀行等に預金が有るか無いか、住んでいた自宅が持ち家なのか、借家なのか、持ち家であった場合、売却金額はいくらくらいになるのか、他に借金はないのか等を検討する必要があります。

代襲相続 → 質問1-4

差し押さえと相続放棄 → 質問6-1

二重の相続放棄(再転相続人) → 質問6-2

相続放棄と新相続人 → 質問6-3

1.相続の発生について

今回のご相談では相談者間の叔父様が亡くなられたということですが、叔父様自身にご家族はなく、相談者様の父方の祖父母は既に亡くなっておられているということから、お父様が唯一の相続人となるはずでしたが、そのお父様も既に亡くなっていたことから代襲相続により、ご相談者様が叔父様を相続したことになったようです。
通常、債権者はお金を貸した本人が亡くなった場合にはその相続人に借金の返済を求めるために、相続人を探そうとしますが、その過程でご相談者間の名前が挙がってきたのでしょう。

2.相続放棄の取り消し(撤回)について

家庭裁判所に相続放棄の申述を行い、それが受理されると、騙されていたなどの事情がない限り、その後に相続放棄を撤回することはできません。

(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
民法第九百十九条 相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。
2 前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。

なので、相続放棄が受理された後に、被相続人に多額の財産が出てきたとしても、それを相続することはできません。
相続放棄は原則として相続の開始を知ってから3か月の熟慮期間内に行えば足りますので、その期間内に財産の有無、多寡、他の借金の有無などを調べる必要があります。
また、家庭裁判所に熟慮期間の延長を請求することもできますので、落ち着いて慎重に財産の調査をすることが肝要です。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
民法第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

熟慮期間の起算点(いつの時点から3か月の期間を計算し始めるか)を見定めるための指標になりますので、債権者からの通知は大切に取っておいてください。
通知に日付がある場合はその日付が熟慮期間の起算点を考える上での目安になりますし、封筒の消印日付も参考資料になりますので、封筒も捨てずに保存したほうが良いと思います。

相続放棄が可能な期間 → 事例紹介

再転相続人の相続放棄 → 事例紹介

再転相続の場合の熟慮期間 → 事例紹介