母が亡くなり、その相続手続きをどうするかを姉妹で考えています。
母は相続財産として豊中市に2000万円の土地と建物を、500万円の預貯金を残して亡くなりました。
また、銀行に対して500万円の住宅ローンの残金がありました。
相続人は私のほかに姉と妹がおります。
姉は池田市で定食屋を切り盛りしているのですが、商売を始めるときに母から事業資金として2000万円を貰っています。
この場合、私たちの相続分はどのようになるのでしょうか。
お姉さまが特別受益にあたる財産をお母さまの生前に贈与されていますので、その特別受益の持ち戻しを行うことから計算を始める必要があります。
ただ、今回のご相談では計算を進めますとお姉さまの具体的相続人がマイナスになってしまいますので、どのようになるのかを以下で、説明いたします。
特別受益とは → 質問3-6
特別受益の評価(1) → 質問3-7
特別受益の評価(2) → 質問3-8
持ち戻しの免除とは → 質問3-10
1.特別受益の持ち戻し
まず、あるべき相続財産は相続開始時に存在したプラスの財産に特別受益分を加算した額となります。
今回のご相談では豊中市にある不動産の価格2000万円と預貯金500万円が相続開始時に存在したプラスの財産あたり、お姉さまへの事業資金2000万円が特別受益となりますので、これらを合算した4500万円があるべき相続財産ということになります。
2.具体的相続分
上記で計算した4500万円をご相談者様3姉妹で均等に分けた額1500万円が、姉妹それぞれの具体的相続分になります。
お姉さまについては2000万円の特別受益を既にもらっていますので、具体的相続分から特別受益を引きます。
すると、お姉さまの具体的相続分は-500万円となってしまいます。
この場合に、どうすればいいのかは民法が定めています。
(特別受益者の相続分)
民法903条2項
遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
お姉さまの具体的相続分はマイナスになっているので、上記民法903条2項によりお姉さまの具体的相続分は無いということになります。
3.具体的相続分のマイナス分はどうするのか
お姉さまの具体的相続分は民法903条2項によってゼロになりますが、同条項はそれ以上になにも定めていません。
なので、お姉さまはマイナス分を補填する必要はないと考えられています。
これにより、3姉妹の相続分はお姉さまがゼロになり、相談者様と妹様は1500万円ずつということになります。
しかし、実際には残っている財産は豊中市の不動産2000万円と預貯金500万円の合計2500万円しかありませんので、500万円分が不足します。
この不足分は相談者様と妹様で負担するしかないので、お二人の具体的相続分は結局1250万円ずつということになります。