箕面市 S.C.さん

私の父は箕面市内で複数の不動産を所有しており、アパート経営を行っていたのですが、先日亡くなり、その相続のことでご相談です。
父は生前、兄の知り合いの税理士から相続税のことを考えれば孫である兄の子を養子にしたほうが良いと聞かされて、その通りにしました。
しかし、その後、兄との関係が悪化したことから養子縁組は無効だと言って離縁届を提出していたようなのですが、兄の子は未成年だったため離縁をするにも兄の同意が必要だったそうで、結局離縁はできずじまいのまま亡くなりました。
私は甥が私の兄弟になっていることに納得がいかないのですが、そもそも節税目的でした養子縁組自体が無効なのではないでしょうか。

司法書士

有効に養子縁組をするためには縁組を行う意思が必要となります。
そして残念ながら現時点では、たとえ節税のためという目的があったとしても、それだけでは縁組を行う意思がないとまでは言えないと考えられており、ご相談をお聞きする限りは養子縁組は有効と判断されると思われます。

節税目的でした養子縁組の有効性

相続税の計算に関しては、相続人が多いほど遺産に係る基礎控除額が増えるので、その分節税になります。
そこで節税目的で養子縁組が行われることがあるのですが、子供が複数いる場合にその一部の子供の子供(亡くなられた方の孫)を養子とすると、その他の子供の相続分も減ることから、しばしば相続をめぐる争いが生じます。
このように節税目的でされた養子縁組の有効性について次のような事案がありました。

(1) 被上告人X1は亡Aの長女であり,被上告人X2はAの二女である。
上告人は,平成23年▲月,Aの長男であるBとその妻であるCとの間の長男として出生した。
Aは,平成24年3月に妻と死別した。
(2) Aは,平成24年4月,B,C及び上告人と共にAの自宅を訪れた税理士等から,上告人をAの養子とした場合に遺産に係る基礎控除額が増えることなどによる相続税の節税効果がある旨の説明を受けた。
その後,養子となる上告人の親権者としてB及びCが,養親となる者としてAが,証人としてAの弟夫婦が,それぞれ署名押印して,養子縁組届に係る届書が作成され,平成24年▲月▲日,世田谷区長に提出された。
2 本件は,被上告人らが,上告人に対して,本件養子縁組は縁組をする意思を欠くものであると主張して,その無効確認を求める事案である。

このような事案について最高裁判所は次のように判断しました。

養子縁組は,嫡出親子関係を創設するものであり,養子は養親の相続人となるところ,養子縁組をすることによる相続税の節税効果は,相続人の数が増加することに伴い,遺産に係る基礎控除額を相続人の数に応じて算出するものとするなどの相続税法の規定によって発生し得るものである。相続税の節税のために養子縁組をす
ることは,このような節税効果を発生させることを動機として養子縁組をするものにほかならず,相続税の節税の動機と縁組をする意思とは,併存し得るものである。
したがって,専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても,直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。
そして,前記事実関係の下においては,本件養子縁組について,縁組をする意思がないことをうかがわせる事情はなく,「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。

最判平成29年1月31日 民集 第71巻1号48頁

養子縁で相続人を増加させることによる相続税の節税効果に歯止めをかけるため、相続税法法上、養子の数には制限が設けられており、制限内であったも不当に税負担を免れる場合には養子を相続人に含めないこともできるとされています。
年々、過度の相続税対策に対しては厳しい措置が取られてきていますので、一概に養子による節税効果が期待できるかは不透明感があり、注意が必要です。
ただし、税法上の相続人の取り扱いは、あくまで税法上のことだけを問題としています。
なので、このような相続税法上の規制は養子縁組自体の効力を否定することにはなりません。
養子縁組の有効性は民上の問題として解決されることになり、節税目的の養子縁組であっても、現時点では上記のように最高裁判所により原則として有効と考えられています。

法定相続分とは → 質問3-1

虚偽出生届と養子縁組 → 事例紹介

特別養子縁組の要件 → 事例紹介

この記事は上記判決をモデルにした架空の事例です。
また、記事掲載時の法令・判例に基づいています。
ご覧の時点で裁判所の判断に合致しないこともありますのでご留意ください。

池田市・豊中市・箕面市などの北摂地域や大阪市での相続登記はルピナス司法書士事務所にご相談を

相続した不動産の名義変更にまつわる煩雑な手続きを貴方専任の司法書士がサポートします。
お電話、Eメール、ラインからでも、ご相談いただけます。

友だち追加
ラインでのお問い合わせ