池田市 D.H. さん

私には以前、結婚していた方との間に1人の子供がいます。
離婚の原因は私と元夫との間のことで、元夫と子供との間には特に問題は無かったですし、当時の私には子供を養う余裕がなかったものですから、離婚の際は私1人で家を出て、子供は元夫のもとに置いていくこととなりました。
ところが、子供が3歳の時に元夫が急逝して、私の子は夫の弟夫婦が育てることになりましたので、子供を私に引き渡すように求めたのですが、いろいろと理由を付けて私に引き渡そうとしません。
いまや子供も10歳になりますが、何とかして私のもとに引き取ることができないでしょうか。私は現在、池田市内でアパート住まいですが、定職にもついておりますし、今なら子供1人を養うことはできます。

司法書士

親権のない第三者のもとに子供がいる場合は、親権の行使が妨害されているとして、妨害排除請求を求めることや、民事執行法による直接強制や間接強制を求めていくことになります。
ご相談では相手方から子供引き渡しができない理由として現在の職業や子供の意思などを言われているようですが、過去の裁判例からするとこれらだけでは引き渡しを拒否する理由にはならないと思われます。

子供の引き渡し請求と親権の濫用、子供の意思など

子供の引き渡し請求をどのように実現するかについては複数の方法があり、それぞれ、どのような事情を考慮して引き渡しを認めるかが異なります。
例えば、引き渡し請求として親権の妨害排除請求を求めた場合については次のような判例があります。

 同第五点について。
 論旨は、原判決に、子を監護する権利の本質を誤解し、権利濫用に関する法規の適用を誤つた違法があると主張する。
 被上告人の本件請求は、被上告人の親権に服する子Dに対し、被上告人がその親権を行使するにつき、上告人の妨害の排除を求むるに在ること明かである。
 同点一所論の如く、本件請求の目的が、右Dの養育に在るのではなくして、亡夫Eの遺産を取得するにあるとの事実は、原判示に即しないばかりでなく、同点一に列挙した諸事実の如きは、本件請求の当否に関係があるとは到底解し得られない。
 同点二所論の事実も亦、必ずしも原審の事実認定に即するとはいえないばかりでなく、かかる事実は、いまだ被上告人に親権濫用のある理由とするに足らない。
 また、同点三についても、原判示によれば、右Dは昭和二二年五月一〇日生であり、父E死亡直後、被上告人が上告人に対し、右Dの引渡を求むる調停を申立てた昭和二五年二月一四日には、いまだ三才に満たない幼児であり、上告人はその頃より引続き右Dを手許におき、或は実姉Hに託して養育を続けて来たとのことであるから、上告人或はその実姉H方に留つたことが、右Dの自由意思に基いたものとは、到底解し得ない。
 されば、原審確定の事実関係の下においては、被上告人の本件請求を認容した原判決に、所論の違法があるとは考えられない。論旨も亦採用し得ない。
 同第六点について。
 論旨は、原判決に右Dの居住の自由を侵し憲法二二条違反があると主張する。
 本件請求は、右Dに対し、民法八二一条に基く居所指定権により、その居所を定めることを求めるものではなくして、被上告人が同人に対する親権を行使するにつき、これを妨害することの排除を、上告人に対し求めるものであること、多言を要しない所である。
 したがつて、本件請求を認容する判決によつて、被上告人の親権行使に対する妨害が排除せられるとしても、右Dに対し、被上告人の支配下に入ることを強制し得るものではない。それは、同人が自ら居所を定める意思能力を有すると否とに関係のない事項であつて、憲法二二条所定の居住移転の自由とも亦何等関係がない。されば違憲の主張は、その前提を欠くに帰する。

最判昭和35年3月15日 民集 第14巻3号430頁

補足しますと、上記判決の「同点二所論の事実」というのは、この事件で子供引き渡しを求めていた母親が料亭の女中奉公をしており、住まいも間借りしている場所を転々としていたり、子供にとってはいい環境とは言えないことを主張したものです。
また、「同点三」は子供が自身の自由意思で被告のもとにとどまっているのであって、自分たちが強制しているわけではないという主張です。
子供の引き渡しを妨害排除を理由に行う場合には、仮に子供が自分の意思で第三者宅にとどまっている場合には、子供の意思に基づく以上その第三者が親権の行使を妨害しているとは言えないと考えられます。
そこで、子供の自由意思が認められるかが争点となりますが、1つの目安としては10歳程度であれば1人で考える力があると考えられています。
ただ、子供の意思のみで決せられるわけではなく、子供の引き渡しを求める親権者の利己的な目的等も考慮すべきとされています。

この記事は上記判決をモデルにした架空の事例です。
また、記事掲載時の法令・判例に基づいています。
ご覧の時点で裁判所の判断に合致しないこともありますのでご留意ください。

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