豊中市 K.C. さん

父の遺言のことで相談です。
父は豊中市内に土地と建物を持っているのですが、父はその「豊中市内の不動産を妹に相続させるつもりで遺言を書いた。お前はこの遺言の通りにして妹と争わないように。」と言われ、書いた遺言を見せられました。その遺言は母と共同の名義でなされており、父が亡くなったときに母が生きているのであればまず母が相続し、母が亡くなった後に妹に相続させるというものでした。
母もこれに納得して遺言を作成したそうです。
私としては遺言の内容自体に文句は無いのですが、確か、共同でした遺言は無効だと聞いたことがあったので、父と母が連名でした遺言は大丈夫なのかと心配になり相談に伺いました。
相続人は私と母と妹だけなので、私が何も言わなければ問題ないとも思うのですが、せっかくなら有効な遺言にしたほうが良いと思います。

司法書士

おっしゃる通り、遺言が共同名義でなされている場合は無効とされます。
お聞きする限りでは遺言はお父様がお1人で書かれてお父様の名前とお母様の名前が書かれているということですので、少なくともお母様の遺言部分についてはお母さまが自書していないので無効であり、残りのお父様の自書部分については有効という考え方もありますが、裁判所はこのような共同遺言を無効と判断しています。
なので、有効な遺言を残すことを重視するのであれば遺言を2通に分けて、お父様分とお母様分を別に作成しなおすことをお勧めします。

共同遺言の有効性

遺言は共同名義でしてないけないとされています。

(共同遺言の禁止)
民法第九百七十五条 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。

これは仮に共同遺言を認めると共同者の意思が互いに制約されたり、一方だけで遺言の撤回ができなくったりすることがあり、また一部に無効事由があれば遺言のどの部分有効なのか複雑化するなどの理由によって共同遺言は認めないとしたものです。
また、共同遺言を認めなくとそれぞれ単独でする遺言に条件付けを行うことで特に問題なく遺言を行うこともできますので、あえて共同遺言を認める必要もないと考えられてます。

ご相談のような共同遺言の場合、一方に(ご相談でいうとお母様の遺言部分に)自書していないという無効事由がありますので、その無効部分を除けば、残りの部分は有効なのではないかが争われた裁判で最高裁判所は次のように判断しました。

同一の証書に二人の遺言が記載されている場合は、そのうちの一方に氏名を自書しない方式の違背があるときでも、右遺言は、民法九七五条により禁止された共同遺言にあたるものと解するのが相当である。

最判昭和56年9月11日 民集 第35巻6号1013頁

仮に遺言の一部が無効とされた時に、残りの部分を有効なものとして存続させるのかを確かめるすべがない場合もあり(遺言者の1人が既に亡くなられている場合には確かめるすべがありませんので)、余計な紛争を産まないためにも遺言全体としても無効と判断されたことに合理性はあると考えられています。

負担付死因贈与の撤回 → 事例紹介

遺言執行者と受遺者の選定 → 事例紹介

遺言の署名と押印 → 事例紹介

カーボン複写と遺言の自署性 → 事例紹介

公正証書遺言の証人適格 → 事例紹介

不明確な遺言の解釈 → 事例紹介

この記事は上記判決をモデルにした架空の事例です。
また、記事掲載時の法令・判例に基づいています。
ご覧の時点で裁判所の判断に合致しないこともありますのでご留意ください。

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