豊中市 K.C.さん

私は5年ほど前に子供がいる女性と結婚しまして、豊中市内に家も購入して暮らしていました。
結婚する際に相手の女性から、子供を認知してほしいと言われました。その子供は実際に私の子ではなかったので、認知をするかしないか迷ってはいたのですが、私と結婚するのなら認知してほしいとせがまれまして、認知することにしました。
ところが、同居後も子供は私に全く懐かず、私が転勤で豊中を離れることになってからはほぼ会ってもいません。また、妻ともだんだんと気持ちが離れまして、この度、離婚することになりました。
そこで、問題は子供をどうするかです。認知は無効だった言いたいのですが、妻と子供の側は認知の無効を認めたくないようで、あなたが認知したのだから今さら無効なんて言えるはずがないと言います。
確かに認知をしたのは私ですが、子供とは何ら血縁もないですし、認知の無効を主張できないものでしょうか。

司法書士

たとえ認知をしたとしても、血縁が無い以上は認知は無効となります。
そして認知したものが、自由意思で認知したというだけでは認知の無効を主張することを制限されることはないと考えられています。
なので、ご相談でも、認知をしたということ自体から、認知の無効を主張することはできないと判断されませんので、認知無効の訴えを起こすことはできます。

認知をした者による認知無効の主張の可否

認知をした者が認知を無効とするとは、認知を受けた者からするといったんは自分意思で認知をしたのに後になって無効だと言い出すのはおかしいと考えることも無理はありません。
しかし血縁が無い以上は認知は無効だと主張したい気持ちもわかります。
そこで、任意に認知した者でも、その認知が無効であると主張することは許されるのかが争われた事案があります。

事案の概要は次のようなものです。

(1) 被上告人は,平成15年3月▲日,上告人の母と婚姻し,平成16年12月▲日,上告人(平成8年▲月▲日生まれ)の認知(以下「本件認知」という。)をした。上告人と被上告人との間には血縁上の父子関係はなく,被上告人は,本件認知をした際,そのことを知っていた。
(2) 上告人と被上告人は,平成17年10月から共に生活するようになったが,一貫して不仲であり,平成19年6月頃,被上告人が遠方で稼働するようになったため,以後,別々に生活するようになった。上告人と被上告人は,その後,ほとんど会っていない。
(3) 被上告人は,上告人の母に対し,離婚を求める訴えを提起し,被上告人の離婚請求を認容する判決がされている。

そして認知の無効を請求された子供側は次のような主張を行い、認知の無効を主張することは制限されるべきだと反論していました。

所論は,認知者自身による認知の無効の主張を認めれば,気まぐれな認知と身勝手な無効の主張を許すことになり,その結果,認知により形成された法律関係を著しく不安定にし,子の福祉を害することになるなどとして,血縁上の父子関係がないことを知りながら本件認知をした被上告人がその無効の主張をすることは許されないというのである。

このような中、最高裁判所は次のように判断しました。

血縁上の父子関係がないにもかかわらずされた認知は無効というべきであるところ,認知者が認知をするに至る事情は様々であり,自らの意思で認知したことを重視して認知者自身による無効の主張を一切許さないと解することは相当でない。
また,血縁上の父子関係がないにもかかわらずされた認知については,利害関係人による無効の主張が認められる以上(民法786条),認知を受けた子の保護の観点からみても,あえて認知者自身による無効の主張を一律に制限すべき理由に乏しく,具体的な事案に応じてその必要がある場合には,権利濫用の法理などによりこの主張を制限することも可能である。
そして,認知者が,当該認知の効力について強い利害関係を有することは明らかであるし,認知者による血縁上の父子関係がないことを理由とする認知の無効の主張が民法785条によって制限されると解することもできない。
そうすると,認知者は,民法786条に規定する利害関係人に当たり,自らした認知の無効を主張することができるというべきである。この理は,認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異なるところはない。

最判平成26年1月14日 民集 第68巻1号1頁

このように原則として認知したものによる認知無効の主張も行うことができ、具体的な事案によっては例外的に無効の主張が制限されるとされています。
なので、ご相談においても認知の無効を主張することはできると思われます。

無効な養子縁組の追認 → 事例紹介

性別変更と嫡出推定 → 事例紹介

この記事は上記判決をモデルにした架空の事例です。
また、記事掲載時の法令・判例に基づいています。
ご覧の時点で裁判所の判断に合致しないこともありますのでご留意ください。

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