豊中市 R.K.さん

高校時代の同級生と大学卒業後に再会してからお付き合いを始めました。
付き合い始めた年には既に肉体関係もあり、将来は結婚しようとお互い話していました。ただ、何年かして彼が病気でたびたび入院することがあり、健康状態に不安を抱いたようで、病弱な自分ではとても結婚なんてできないと言い始めました。
私はそんなことは気にしないと伝えていたのですが、彼は一度実家に戻ると言って帰郷しました。
しかし、半年ほどして様子を見に彼の故郷に向かうと彼の父の意向で別の女と結婚していました。
私は彼と付き合い始めてから10年近くにもなり、将来結婚するという約束を信じて子供もおろしたこともあります。
それなのに別の女と結婚するなんて許せません。
彼とは結納を交わしたり、両家の親と顔合わせをするようなことは特にしていませんでしたが、将来の約束を交わしていたことは確かです。
せめて彼に慰謝料を支払ってもらい自分がしたことを公開させたいのですが認められるでしょうか。

司法書士

婚約の成立については、特にこれを踏まなければならいという手続きなどはなく、当事者双方が婚姻する意思を明確にしていればよいと考えられています。
お聞きした事情によれば、十分に婚約の成立は認められ、それを不当に破棄されたのであれば慰謝料をすることもできると思われます。

婚約の成立についての判例

結納や同棲の事実がなっかとしても婚約の成立が認められるとした判例があります。
そこでは次のように判断されました。

論旨は判例違反をいうけれども、原判決は、原審竝びにその引用する第一審判決挙示の各証拠を綜合考かくして、被上告人が上告人の求婚に対し、真実夫婦として共同生活を営む意思でこれに応じて婚姻を約した上、長期間にわたり肉体関係を継続したものであり、当事者双方の婚姻の意思は明確であつて、単なる野合私通の関
係でないことを認定しているのであつて、その認定は首肯し得ないことはない。
右認定のもとにおいては、たとえ、その間、当事者がその関係を両親兄弟に打ち明けず、世上の習慣に従つて結納を取かわし或は同棲しなかつたとしても、婚姻予約の成立を認めた原判決の判断は肯認しうるところであり、所論引用の判例に牴触することはなく、所論は結局、原審の専権に属する事実認定を非難するに帰するから採用し難い。

最判昭和38年9月5日 民集 第17巻8号942頁

婚約の成立が認められるためには例えば結納を取り交わしたり、婚約指輪を渡したり、両家の顔合わせがあったりするなど、外形的な事実があれば比較的容易に認められます。
このような事実が無くても両家の親族が当事者の結婚の約束を知っていた場合などを証明することでも認められます。
しかし、このような事実がない場合には婚約の成立はかなり慎重にされなければならないと、一般的には言われています。
ただ長期間肉体関係にあったというだけでは婚姻の成立は認められにくく、上記の例でも肉体関係だけでなく、真摯に結婚に向かう約束があったということを主張・立証できたことが大きかったと考えられています。
なので、結納等の婚姻を推認させる外形的事実ができない場合は、付き合い始めてから婚姻の約束を交わしたことを詳細に主張する必要があります。

この記事は上記判決をモデルにした架空の事例です。
また、記事掲載時の法令・判例に基づいています。
ご覧の時点で裁判所の判断に合致しないこともありますのでご留意ください。

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