池田市 K.S. さん

私と夫は結婚後に2人の子供をもうけて、しばらくは平穏に暮らしていたのですが、10年ほど前から夫は私に対して嘘が多くなり、また給料も家に入れなくなったので別居することになりました。
今は池田市内にある実家に子供と共に身を寄せています。
別居中も私たちの生活費や子供の教育費などを送ってくることもありませんでしたので、この度、離婚をすることとし、夫に対して離婚と財産分与、慰謝料を請求しようと思います。
ただ、離婚に至るまでの婚姻費用の請求と財産分与の請求は別の手続きで行わなければならないという話を聞いたのですが、1つの手続きではできないのでしょうか。

司法書士

たしかに、財産分与については家庭裁判所の審判手続きによって行うこととされていますが、離婚訴訟を提起する際には付帯処分として離婚訴訟の中で判断することもできるとされています。
これに対して、婚姻費用の分担請求は財産分与と同じく家庭裁判所での審判手続きによって行うものとされていますが、財産分与と異なり離婚訴訟での付帯処分として判断することができるとはされていません。
しかし、つぎの最高裁判所の判例によれば、離婚訴訟のなかで財産分与の額を決定する際に婚姻費用の分担を含めて判断することができるとされていますので、離婚訴訟の中で実質的に両方を請求することは可能です。

離婚訴訟の中での財産分与請求に婚姻費用の分担を考慮できると判断した例

離婚訴訟の中での財産分与請求に婚姻費用の分担を考慮できると判断した最高裁判所の判例があります。

離婚訴訟において裁判所が財産分与の額及び方法を定めるについては当事者双方
の一切の事情を考慮すべきものであることは民法七七一条、七六八条三項の規定上
明らかであるところ、婚姻継続中における過去の婚姻費用の分担の態様は右事情の
ひとつにほかならないから、裁判所は、当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の
清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができるものと解
するのが、相当である。こ

最判昭和53年11月14日 民集 第32巻8号1529頁

財産分与と婚姻費用の分担は目的が異なることから、本来であれば双方独立して判断されるのが自然であると考えられています。
しかし、離婚訴訟が提起されていて、財産分与と婚姻費用の分担の双方が問題とされているのであれば、離婚訴訟という同じ手続き内で、一回で解決したほうが紛争の解決につながると判断されて、上記のような結論に至ったものと思われます。
なので、離婚訴訟を提起しているのであれば、実質的に双方を合わせて請求することはできます。

この記事は上記判決をモデルにした架空の事例です。
また、記事掲載時の法令・判例に基づいています。
ご覧の時点で裁判所の判断に合致しないこともありますのでご留意ください。

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