池田市 O.I.さん

私は夫と結婚後、2人目の子供ができたことをきっかけにして池田市内に不動産を購入して、家族4人で暮らしていました。
その後、しばらくは平穏に暮らしていたのですが、下の子供が小学生に上がるくらいから、夫の帰宅が遅くなったりすることがありました。
当時は夫も昇進したりして仕事が多いのだと思っていたのですが、どうやら外に女がいたようです。
そのことに気づいてから何度か話し合いを持ったのですが、夫はその女と結婚するから別れろと言って家を出ていってしまいました。
おかげ家庭はめちゃくちゃです。何とかして相手の女に慰謝料を支払わせたいのですが。

司法書士

まず問題となるのは慰謝料を請求しようとする相手との浮気がいつ始まったのかということです。
裁判所は浮気が始まったときに夫婦関係が既に破綻している場合は不法行為による損害賠償請求を認めていないからです。
また仮に損害賠償自体が可能だとしても相手方の当時の認識(妻帯者であるとは思っていなかった、妻帯者であることは分かっていたが、すぐにでも離婚するようなものと思っていたなど)も重要になってきますので、慰謝料請求が実際に認められるかの判断には、様々な事情を調べる必要があります。

一方配偶者から他方配偶者の浮気相手への慰謝料請求

配偶者の一方が他方の配偶者の浮気相手へ、不貞行為を理由として慰謝料を請求した事案で最高裁判所は次のように判断しました。
事案は次のようなものです。

一 原審の確定した事実関係は次のとおりであり、この事実認定は原判決挙示の証拠関係に照らして首肯することができる。
 1 上告人と甲野春夫とは昭和四二年五月一日に婚姻の届出をした夫婦であり、同四三年五月八日に長女が、同四六年四月四日に長男が出生した。
 2 上告人と春夫との夫婦関係は、性格の相違や金銭に対する考え方の相違等が原因になって次第に悪くなっていったが、春夫が昭和五五年に身内の経営する婦人服製造会社に転職したところ、残業による深夜の帰宅が増え、上告人は不満を募らせるようになった。
 3 春夫は、上告人の右の不満をも考慮して、独立して事業を始めることを考えたが、上告人が独立することに反対したため、昭和五七年一一月に株式会社 D (以下「D」という)に転職して取締役に就任した。
 4 春夫は、昭和五八年以降、自宅の土地建物を D の債務の担保に提供してその資金繰りに協力するなどし、同五九年四月には、D の経営を引き継ぐこととなり、その代表取締役に就任した。しかし、上告人は、春夫が代表取締役になると個人として債務を負う危険があることを理由にこれに強く反対し、自宅の土地建物の登記済証を隠すなどしたため、春夫と喧嘩になった。上告人は、春夫が右登記済証を探し出して抵当権を設定したことを知ると、これを非難して、まず財産分与をせよと要求するようになった。こうしたことから、春夫は上告人を避けるようになったが、上告人が春夫の帰宅時に包丁をちらつかせることもあり、夫婦関係は非常に悪化した。
 5 春夫は、昭和六一年七月ころ、上告人と別居する目的で家庭裁判所に夫婦関係調整の調停を申し立てたが、上告人は、春夫には交際中の女性がいるものと考え、また離婚の意思もなかったため、調停期日に出頭せず、春夫は、右申立てを取り下げた。その後も、上告人が D に関係する女性に電話をして春夫との間柄を問いただしたりしたため、春夫は、上告人を疎ましく感じていた。
 6 春夫は、昭和六二年二月一一日に大腸癌の治療のため入院し、転院して同年三月四日に手術を受け、同月二八日に退院したが、この間の同月一二日に D 名義で本件マンションを購入した。そして、入院中に上告人と別居する意思を固めていた春夫は、同年五月六日、自宅を出て本件マンションに転居し、上告人と別居するに至った。
 7 被上告人は、昭和六一年一二月ころからスナックでアルバイトをしていたが、同六二年四月ころに客として来店した春夫と知り合った。被上告人は、春夫から、妻とは離婚することになっていると聞き、また、春夫が上告人と別居して本件マンションで一人で生活するようになったため、春夫の言を信じて、次第に親しい交際をするようになり、同年夏ころまでに肉体関係を持つようになり、同年一〇月ころ本件マンションで同棲するに至った。そして、被上告人は平成元年二月三日に春夫との間の子を出産し、春夫は同月八日にその子を認知した。

このような事案での裁判所の判断は次のようなものでした。

二 甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である。
けだし、丙が乙と肉体関係を持つことが甲に対する不法行為となる(後記判例参照)のは、それが甲の婚姻共
同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであって、甲と乙との婚姻関係が既に破綻していた場合には、原則として、甲にこのような権利又は法的保護に値する利益があるとはいえないからである。
三 そうすると、前記一の事実関係の下において、被上告人が春夫と肉体関係を持った当時、春夫と上告人との婚姻関係が既に破綻しており、被上告人が上告人の権利を違法に侵害したとはいえないとした原審の認定判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。所論引用の判例(最高裁昭和五一年(オ)第三二八号同五四年三月三〇日第二小法廷判決・民集三三巻二号三〇三頁)は、婚姻関係破綻前のものであって事案を異にし、本件に適切でない。論旨は採用することができない。

最判平成8年3月26日 民集第50巻4号993頁

この判断を前提とすると、浮気が行われた際に夫婦関係が既に破綻していると、浮気相手に対する慰謝料請求は認められませんので、まずは浮気が行われた時期の確定と、その当時の夫婦関係の状況を振り返る必要があります。

この記事は上記判決をモデルにした架空の事例です。
また、記事掲載時の法令・判例に基づいています。
ご覧の時点で裁判所の判断に合致しないこともありますのでご留意ください。

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