箕面市 F.I.さん

私の夫は箕面市にある旧家の長男だったのですが、数年間に亡くなりました。
夫の生前は夫の箕面市の実家の近くに土地を買って、夫の母親と住んでいまして、夫が亡くなった後もそのまま同居していました。夫の実家は父親が亡くなったときに夫の姉が相続しています。夫が亡くなった後、だんだんと義母との仲が悪くなり、姻族関係終了届を提出して今は義母は義姉と暮らしています。
ご相談は夫の遺骨のことです。
夫の遺骨は夫の実家のお墓に入っていたのですが、義母との同居解消を機に別のお墓に移したいと思っていたですが、義母が姻族関係は終了しているし、実家のお墓の祭祀承継は私にはないと言って、遺骨の引き取りに同意してくれません。
何とかして夫の遺骨を引き取りたいのですが。

司法書士

亡くなった配偶者の遺骨の所有権は生存配偶者にあると一般的に考えられています。
なので、遺骨の所有権は実家の祭祀承継とは関係なく配偶者であるご相談者にあると考えられますので、この点を根拠にして再度、話し合いの場を持たれることをお勧めします。
それでも受け入れてもらえないときは、遺骨の引き取りを求めて訴えを起こすしかありません。

1.姻族関係を終了した場合の遺骨の引き取りに関する裁判例

亡くなられた配偶者の遺骨を引き取りたいのに婚家の反対にあったという事案に関する裁判例があります。

夫の死亡後、その生存配偶者が原始的にその祭祀を主宰することは、婚姻夫婦(及びその間の子)をもって家族関係形成の一つの原初形態(いわゆる核家族)としているわが民法の法意(民法739条1項、750条、戸籍法6条、74条1号参照)及び近時のわが国の慣習(たとえば、婚姻により生家を出て家族関係を形成したのちに死亡した次、三男等の生存配偶者が原始的に亡夫の祭祀を主宰していることに多くその例がみられる。)に徴し、法的にも承認されて然るべきものと解され、その場合、亡夫の遺体ないし遺骨が右祭祀財産に属すべきものであることは条理上当然であるから、配偶者の遺体ないし遺骨の所有権(その実態は、祭祀のためにこれを排他的に支配、管理する権利)は、通常の遺産相続によることなく、その祭祀を主宰する生存配偶者に原始的に帰属し、次いでその子によって承継されていくべきものと解するのが相当である。

東京高判昭和62年10月8日判時1254号70頁

2.裁判例の評価について

上記の裁判例が理由とした慣習の存在には疑問があるとされてはいます。
しかし、配偶者の遺骨を巡って婚家が祖先の遺骨とともに祭っていくべきか、生存している配偶者が祭っていくのかについての対立に関しては、配偶者による祭祀を優先することに現在では異論はなく、裁判例の結論自体にも異論は少ないといとされています。
そこで、この裁判例に従うのであればご相談の場合についても亡き配偶者の遺骨は生存している配偶者のものとなると判断されます。

この記事は上記判決をモデルにした架空の事例です。
また、記事掲載時の法令・判例に基づいています。
ご覧の時点で裁判所の判断に合致しないこともありますのでご留意ください。

池田市・豊中市・箕面市などの北摂地域や大阪市での相続登記はルピナス司法書士事務所にご相談を

相続した不動産の名義変更にまつわる煩雑な手続きを貴方専任の司法書士がサポートします。
お電話、Eメール、ラインからでも、ご相談いただけます。

友だち追加
ラインでのお問い合わせ